「 高月城 址」ってどんなお城なの?規模や構造について
東京都八王子市高月町にある「 高月城 址(たかつきじょうあと)」は、室町時代後期に山を利用して築かれたお城の址で、主郭とそれを守る、曲輪(くるわ)と呼ばれる防御拠点が並列した並びになっている、連郭式(れんかくしき)という構造になっています。
それらの要素からこのお城は、連郭式山城(れんかくしきやまじろ)という分類になります。
このお城は標高約150mの山の頂上に、広さ約70㎡の主郭を置き、その周囲には谷や崖などの自然を利用した堀や、いくつかの小さな曲輪を配置しています。
また、お城の周囲には秋川(あきがわ)と多摩川(たまがわ)の合流点もあり、天然の要害となっていました。
現在このお城のあった山や、その周辺は所有地となり、区画整理によって堀や土塁などは削られてしまい完全な状態で残ってはいませんが、土塁と掘り、曲輪の一部の遺構は今も残っています。
山は私有地にはなっていて、立ち入り禁止の場所がいくつかあるものの、自由に見学することができるようになっています。
道も歩きやすくなっているので、約20~30分ほどで山頂の主郭に到着します。
※夏場はハチやマムシなどが出現するため、十分に注意して山に入りましょう。
それほど長くは使われなかった? このお城の歴史について
このお城は室町時代、関東の政務を総括した関東管領(かんとうかんれい)の役職にあった、山内上杉氏(やまのうちうえすぎし)の重臣、大石顕影(おおいしあきかげ)が1457~1459年ごろに築いたとされています。
以後は大石氏が代々城主を務めました。
1476年、山内上杉氏の重臣であった、長尾景春(ながおかげはる)は謀反を起こし挙兵しました。
この反乱に大石氏も加担し、上杉氏と争うことになりました。
大石氏と景春は、この「 高月城 」で敵を迎え撃つことにしたのですが、上杉氏側の扇谷定正(おうぎがやつさだまさ)や太田道灌(おおたどうかん)らの勢いを止めることができず、景春は逃亡し、大石氏は降伏しました。
その後、戦国時代に入った1521年、大石定重(おおいしさだしげ)の代になると、手狭になったのか、高月城から約1.5キロほど離れた尾根続きの場所に、滝山城(たきやまじょう)を築き、以後は滝山城を本拠地としました。
北条氏が武蔵国(「むさしのくに」今の東京都、埼玉県、神奈川県の一部)を支配すると、大石氏は北条氏の家臣になったため、高月城も滝山城も北条氏の配下になりました。
1590年、豊臣秀吉の小田原征伐により北条氏が滅亡すると、「 高月城 」も廃城になりました。
しかしながら「 高月城 」と大石氏を結びつける確かな史料が発見されておらず、今までの話は言い伝えが残るのみで「 高月城 」や大石氏との関係については未だ詳しくわかっていません。
ちなみに「 高月城 」とその周辺の、滝山城、根小屋城(ねごやじょう)は滝山三城(たきやまさんじょう)と呼ばれ、関東のお城好きな人たちの間では結構有名なので、「 高月城 」に来た際は、ぜひ、滝山城と根小屋城も見学してみてはいかがでしょうか。
戦国時代を生き抜き各地で活躍!大石氏について
このお城の城主であったとされる大石氏は、鎌倉幕府を開いた源頼朝の従弟である、木曾義仲(きそよしなか)の子孫を称し、信濃国佐多郡大石郷(「しなののくにさたぐんおおいしのごう」今の長野県東部)を本拠としたため、大石の姓を名乗るようになりました。
室町時代になると、関東管領上杉氏の家臣となり、武蔵国の守護代(「しゅごだい」領地の政治を行う役職)に任じられるまでになりました。
1384年には大石重信(おおいししげのぶ)が今の東京都八王子市下恩方に浄福寺城(じょうふくじじょう)を、1458年には大石顕重がこの「高月城」を、1521年には大石定重が滝山城を築くなど、大きな力を持っていたことがわかります。
戦国時代に入ると北条氏の家臣になるのですが、一部は上杉氏の家臣のままで、上杉氏とともに、越後国(「えちごのくに」今の新潟県)に渡りました。
北条氏が滅亡し江戸時代になると、今度は徳川氏に仕え、旗本(「はたもと」将軍直属の家臣)になるものや、甲州(「こうしゅう」今の山梨県)の警備や、日光東照宮の火消しの役目を担っていた、八王子千人同心(はちおうじせんにんどうしん)になるもの、徳川氏の一族である、一橋家(ひとつばしけ)の家臣になるものなど、様々な場所で活躍しました。
ちなみに、上杉氏とともに越後へ行った大石氏は、米沢藩(よねざわはん)の要職を代々務め、保原城(ほばらじょう)の城主となるほどの出世を果たしました。
高月城 址 へのアクセス
《所在地》
東京都八王子市高月町1250
・JR五日市線【東秋留駅】から徒歩25分
・JR五日市線【拝島駅】から徒歩40分
・JR五日市線【拝島駅】から バスに乗車し15分【高月集会所前】バス停で下車
高月城 址 の駐車場情報
高月城 址 の公式サイト
お出かけの際には必ず公式サイトを確認してください。
公式サイトは こちら