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京都散歩 京都怪奇探索・東山エリア散歩

華やかな祇園に優美な着物、そして平安貴族たちが紡いで来た歴史のある京都。京都の街には、きらびやかなイメージとは反対の、ほの暗く、そして少し恐ろしい一面があります。
今回の散歩の舞台は、八坂神社や清水寺など有名な観光地が位置する京都・東山エリア。このエリアは、普段国内外からの観光客が多数訪れる場所ですが、それと同時に怪奇スポットが集まっている場所でもあります。
京都の夏は激しく蒸し暑いもの。京都の怪奇スポットを巡り、少し涼しい気分になって見ませんか?

京都怪奇探索・東山エリア散歩スタート

A.京阪 祇園四条駅

今回は、京都一番の繁華街にある京阪の祇園四条駅から散歩を始めていきましょう。

祇園四条駅は京都を走るメインの大通り、四条通と川端通の交差点・川端四条に位置しています。京都の中でも特に賑やかな場所で、地下から上がればすぐ、歴史ある大劇場・南座の姿を見ることができます。

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南座そのものをじっくり眺めるのもよいですが、南座前の四条通をまっすぐ東へ、「八坂さん」と呼ばれる八坂神社の方へ進んで行きましょう。

この辺りは古いものから新しいものまで、いかにも京都の繁華街らしい店が立ち並んでいます。観光客や修学旅行生が行列していることもあるものの、立ち寄れそうなら立ち寄ってみるとよいでしょう。

そのまま進むと、最初の大きな十字路は大和大路通(繩手通)との交差点です。大和大路通を少し入った所に、レトロな派手さが魅力的な「壹錢洋食」があります(本当に派手なのですぐに分かりますよ!)。昔ながらの「壹錢洋食(お好み焼きのようなもの)」が食べられるお店で、気軽に入店できます。時間に余裕があれば、ぜひ寄り道してみてください。

「壹錢洋食」 公式サイトはこちらから

さらに四条通を先に進んで行きましょう。派手な繁華街の感じが少しずつ変わり始め、八坂神社に近付いていることが分かります。昔ながらの建物が目立ち始めます。左手に化粧品の「よーじや」が見えてくれば、その通りが祇園の代名詞である花見小路通です。

FoundJapan|京都散歩 
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花見小路通を超え、さらに東へ、突当りに八坂神社の赤い大鳥居が見えてきます。今回は八坂神社を左へ、東大路通を南に進みましょう。3つ目の信号の右側に、最初の目的地である安井金比羅宮があります。

B.京都怪奇探索1 超強力な縁切で知られる安井金比羅宮

安井金比羅宮は、「悪縁を切り、良縁を結ぶ」縁切り&縁結びにご利益がある神社です。創建は鎌倉時代とされていますが、本来の始まりは飛鳥時代あたりにさかのぼれる程、歴史の長い神社です。

ご祭神は崇徳天皇、大物主大神、源頼政。崇徳天皇の名前でピンときた人もいるかもしれませんが、安井金比羅宮には少し怖い言い伝えがあります。

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安井金比羅宮の別名は「縁切り神社」。縁切りに対し、特に強力なご利益があるとされるのです。普通に縁を切るのではなく、思いもしない強烈な形で縁が切れることもあるのだとか。切りたい悪縁があるならともかく、切りたくない縁がある場合の参拝には注意しましょう。

このご利益には、主祭神である崇徳天皇が関係しています。崇徳天皇は讃岐の地へ流刑に処されたうえ、当地の金比羅宮に立てこもり亡くなったという人物です。日本では平将門と並ぶ三大怨霊の1人でもあります。

金比羅宮に立てこもったとき、崇徳天皇は全ての欲を断ち切りました。この伝説が元となり、安井金比羅宮の縁切り信仰が生まれたとされています。

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ちなみに、切る縁は人に限りません。ギャンブルや煙草、お酒との縁切りを願うこともできます。また、ここにお参りして切れなかった縁は、最高の良縁と言えるかもしれません。

安井金比羅宮の境内はそれほど大きいものではありません。大量の形代が貼り付けられた「縁切り縁結び碑」を見た後は、次に進んで行きましょう。

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安井金比羅宮を出て東大路通を右へ、南の方向へ進んで行きましょう。2つ目の信号、松原通を西に入ってしばらく歩くと、六道珍皇寺が見えてきます。

安井金比羅宮
〒605-0823
京都市東山区下弁天町70
tel. 075-561-5127
参拝時間:終日
公式サイトは こちらから

C.京都怪奇探索2 あの世とこの世を繋ぐ井戸がある六道珍皇寺

「小野篁」という人物をご存じでしょうか。平安時代に活躍した貴族/歌人/学者の1人で、文武両道を絵にかいたような人だったとされています。その反面、反骨精神あふれる性格から「野狂」とも呼ばれました。

そんな人物ですから、かなりぶっ飛んだ逸話がいくつも残っています。そんな逸話の中でも特に有名で印象的なのが、「夜な夜な地獄で閻魔大王の補佐をしていた」というもの。そして、六道珍皇寺に残る井戸こそが、小野篁が地獄へ通うために使った通り道だと言います。

六道珍皇寺はかなり小さなお寺ですが、見どころはたっぷりです。じっくり見ていきましょう。

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まずは入って右側に、閻魔大王像と小野篁像が並んで安置されているお堂があります。まずはこの場所で、閻魔大王と小野篁に思いを馳せましょう。次に、奥にある本堂でお参りをしましょう。

本堂の右側に、小野篁が通ったという井戸があります。通常は小窓から遠めに眺めることしかできません。しかし、特別拝観の際には間近で見ることができますので、興味があればタイミングを合わせるのがおすすめです。

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また、お盆の時期には先祖の霊を迎えるための「六道まいり」で大変込み合います。静かにお参りがしたい場合には、別の日程を選びましょう。

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お参りが済んだら、次の目的地へと向かいましょう。元来た道をたどり、東大路通へ。通りを渡り、細い一方通行の道を上っていきます。左手側に見える細い道に入り、いびつな十字路を右へ、さらに最初の十字路を左へまっすぐ進むと、突当りに石畳の道が見えてくるはずです。石畳の道に出ると、左側に大きな五重塔が見えるはずです。これが有名な八坂の塔です。

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石畳の道を、八坂の塔の方向へ進みましょう。京都らしい風情ある道を歩いて行くと、左側に八坂庚申堂が見えてきます。

この辺りの道は細いものの、交通量は少なくありません。歩くときには十分注意してくださいね。

六道珍皇寺
〒605-0811 京都府京都市東山区小松町595
tel.075-561-4129
公式サイトは こちらから

D.京都怪奇探索3 「欲望」をくくりつけ戒める、八坂庚申堂(金剛寺庚申堂)

人は誰でも、欲望の一つや二つ(もっとあってもおかしくありません!)あるものです。しかし、その欲望が地獄へ行く原因になるかもしれません。

今ではあまり聞かなくなったものの、「天帝(閻魔大王ともされる)に人々の悪行を告げに行く三尸の虫を止めるため、皆で徹夜をして世を過ごす」という庚申信仰が、かつての日本では盛んに行われていました。

三尸の虫は1人1人の体の中にいるもので、庚申の日(かのえさる/60日に1度程巡ってくる)の夜、人が眠っているうちに天へと向かいます。寝ていなければ抜け出せないため、徹夜をするのです。

庚申信仰は中国の道教が元となったもの。だからこそ、「天帝」という言葉が出てくるのですね。

そして、八坂庚申堂はこの庚申信仰の形を残す、日本三庚申の1つです。建立は平安時代とされており、ガイドブックに載ることは少ないものの、長い歴史を持つ貴重なお寺です。

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八坂庚申堂で一際目を引くのは、色とりどりの「くくり猿」の数々です。これは一見可愛らしく見えますが、実は手足を縛られた猿の姿を模しています。動き回る猿を落ち着かない人の心に例え、欲につられて動くことが無いよう、ご本尊である「庚申さん」に見張ってもらうのです。

最近では、カラフルなくくり猿が写真スポットとして人気を集めています。しかし、人々の欲望1つ1つが縛り付けられていると考えると、少し怖いですよね。

欲望にまみれて身動きがとれないとき、何か1つ欲を抑えてでも叶えたい願いがあるとき、もしくは、良い人間になりたいとき、このお寺にお参りすると良いかもしれません。

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八坂庚申堂のお参りが終わったら、次はいよいよ最後の目的地です。

お寺を出てまっすぐ左へ、石畳の道を西の方向へ進んで行きましょう。食べ歩きできる店もあるため、小腹が空いていたら買ってみるのもおもしろいかもしれません。しばらく進むと、東大路通に出ます。

東大路通を渡り、さらにまっすぐ進みます。この道は八坂通と言い、有名な料亭などが並んでいます。中に入らなくとも、立派な門構えを見るだけでも楽しめます。

東大路通から4筋目の道を左に曲がりましょう。細い道を進み、突当りを左へ、さらに突当りを左へ、これをもう一度繰り返すと、「西福寺」というお寺が見えてきます。そしてその向かいには、「子育て幽霊/飴買い幽霊」で有名な「みなとや幽霊子育雨本舗」があります。

「みなとや幽霊子育雨本舗 」公式サイトはこちらから

子育て幽霊の伝説にも惹かれますが、今回はその向かいの石畳の道を歩いて行きましょう。しばらく進むと、右側に六波羅蜜寺が見えてきます。

八坂庚申堂(金剛寺庚申堂)
〒605-0828  京都府京都市東山区金園町390
tel.075-541-2565

E.京都怪奇探索4 あの世に近い六波羅蜜寺

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六道珍皇寺は地獄への通い路がある場所でした。しかし、その近くに位置する六波羅蜜寺は、別の意味で「あの世」に近い場所でした。

そもそも、六波羅蜜寺や六道珍皇寺が位置する場所は鳥辺野(とりべの:鳥葬が行われていた場所)の地にほど近く、あの世とこの世の境目とみなされていました。また、六波羅蜜寺の「六波羅」とは、悟りに至るための6つの修行のことを指します。悟った先の世界を「彼岸」といい、彼岸とは一般的に「あの世」を表します。

このことからも、六波羅蜜寺とあの世の関わりが深いことが分かるでしょう。

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六波羅蜜寺では、本堂裏の宝物館で、重要文化財に指定された15体の仏像を見る事ができます。せっかくですから、観賞していきましょう。

15体の中の1つは、誰もが教科書で見たことのある空也上人像です。口から6体の阿弥陀仏が現れている様を描いた立像は印象的で、それを間近で見られるのは嬉しいですね。

また、優し気な顔をした地蔵菩薩立像に座像、リアルな描写が特徴的な運慶座像や湛慶座像など、興味が無くても惹かれる仏像を多数拝観できます。少し時間を割いてでも、宝物館は見ておくようにしましょう。

ちなみに、地蔵菩薩は閻魔大王の化身とも言われています。あの世に近い六波羅蜜寺に地蔵菩薩がまつられており、同じく、地獄に縁深い六道珍皇寺には地蔵堂がある。この符合は、あの世を近く感じるようで、何だか神秘的な気分になってしまいます。

六波羅蜜寺の雰囲気を味わい尽くしたら、とうとう散歩の終わりです。終点となるバス停に向かいましょう。

六波羅蜜寺
京都市東山区ロクロ町81-1
tel.075-561-6980
公式サイトはこちらから

F.京都市バス 清水道バス停

六波羅蜜寺を出て北へ、幽霊子育飴の店に突当たったら右の方向へ、東に進んで行きましょう。綺麗に舗装された松原通を歩いて行きます。この辺りは住宅地のため、ゆったり進んで行きましょう。

しばらく歩くと、大きな交差点・東大路通に行き当たります。「清水道」と呼ばれるこの交差点を左に、北の方向へ進みましょう。

少し歩くと、京都銀行の前に清水道のバス停が見えてきます。今回の散歩はここでおしまい。あらゆる方向へ行けるバス停ですので、好きな所へ向かいましょう。

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京都怪奇探索、東山エリア散歩のおさらい

A.(スタート)京阪 祇園四条駅
↓ 850m
B.安井金比羅宮
↓ 600m
C.六道珍皇寺
↓ 450m
D.八坂庚申堂(金剛寺庚申堂)
↓ 650m
E.六波羅蜜寺
↓ 450m
F.(ゴール)京都市バス 清水道バス停

京都怪奇探索、東山エリア散歩の公式サイト

・安井金比羅宮
〒605-0823 京都市東山区下弁天町70 tel. 075-561-5127
参拝時間:終日
公式サイトは こちらから

・六道珍皇寺
〒605-0811 京都府京都市東山区小松町595
tel.075-561-4129
公式サイトは こちらから

・八坂庚申堂(金剛寺庚申堂)
〒605-0828  京都府京都市東山区金園町390
tel.075-541-2565
京都観光協会 オフィシャルサイト_金剛寺 (八坂庚申堂) こちらから

・六波羅蜜寺
京都市東山区ロクロ町81-1
tel.075-561-6980
公式サイトはこちらから

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