不忍池 は上野恩賜公園の南西の端にあり、外周が約2kmの大きな池です。春はピンク色の桜が池を彩り、夏には蓮の花が咲き誇る憩いの場所となっています。その風景は江戸時代から人々を魅了してきました。不忍池は遊歩道によって区画分けされ、蓮のある「蓮池」、ボートを楽しむことができる「ボート池」、「鵜の池」の3つがあります。散歩をしたりボートに乗ったり、ベンチに座って野鳥を見たりと、思い思いの過ごし方ができる不忍池をご紹介します。
不忍池 とはどんなところ?
不忍池 名前の由来
不忍は「しのばず」と読みます。池がなぜ不忍池と呼ばれるようになったかには、諸説あります。
この池は海が陸地に入り込んだ入海の名残です。水辺にはススキや茅など丈の高い草が生い茂り、道の境を分からなくしていたのですが、キラキラと池の水面だけは見えていました。忍ぶは、周囲から見えないように、人に気付かれないように身を隠すということですが、忍ばずはその否定系です。つまり身を隠すことが出来ない池という意味でつけられたと言う説です。
もう一つは土地の名前からという説があります。上野は忍ヶ岡(しのぶがおか)と呼ばれており、その地に続く池ということで命名されたということです。
不忍池 大昔は海、埋め立てられ水田となった過去も
現在の上野公園の辺りは大昔は海で、それが時とともに砂地や土石によって陸地が広がり、海と分かれて陸地の中に池として残ったのが不忍池とのことです。池となった時期は平安時代から室町時代ではないかと言われています。
1625年(寛永2年)東叡山寛永寺建立の時、不忍池は琵琶湖に見立てられ、琵琶湖の竹生(ちくぶ)島を思わせる小島を造り、弁財天をおまつりしました。江戸時代には不忍池に蓮の花が、水辺に桜の木が植えられました。池の周りには民家があり、池の大きさは今よりも広かったようです。
1884年に上野不忍池競馬場が池を一周するように造られ、明治時代の鹿鳴館外交の華やかな社交場となりました。
第二次世界大戦の終戦後は、食糧不足を補うために水が抜かれて水田となったこともあるそうです。その後、埋め立て野球場にする案も出ましたが、1949年に池のまま保存することが決まりました。時代に翻弄されながらも不忍池は今も私たちに自然の美しさを伝えてくれます。
不忍池 の楽しみ方
都心にありながら自然と歴史を楽しむことができる不忍池。散策やピクニック、写真撮影、バードウォッチングなど、さまざまな楽しみ方ができます。
春は桜
不忍池の周辺には、池を取り囲むようにたくさんの桜が植えられています。池が鏡のようになって桜を映し出し、まるで池がピンク色に染まっているかのように見えます。桜が散る頃には、散った花びらが池の表面をピンク色に覆う花筏で、また違った情緒があります。
池の周りを散歩しながら楽しむもよし、ボートに乗って池の中から桜を楽しむもよし。ぜひ、さまざまな角度から桜を楽しんでみてください。
夏は蓮の花
不忍池の蓮は都内有数の規模を誇ります。江戸時代から蓮の名所として知られていました。
蓮の花開花時期
蓮の花は梅雨明け、7月中旬から8月中旬にかけての約1ヶ月間の時期に見頃となります。
梅雨の時期に花茎を出し、梅雨が明け夏の日差しとともに、花茎を水面から1メートル以上伸ばしたところで、大きな一輪の花を咲かせます。その神秘的な姿から蓮の花は、仏教では極楽の花とされています。
蓮の花は早朝に咲き、昼ごろには閉じてしまうので、満開の蓮を見たければ早い時間に行くのがオススメです。この時期、日中になるほど日差しが厳しくなるので、暑さ回避という意味でも、できるだけ早い時間に足を運んでみましょう。
池の中にデッキが入り込んだ「蓮観察ゾーン」からは、間近で蓮の花を観察することができますよ。
蓮の葉と開花後も楽しめる蓮の実
蓮の葉は水を弾く特性があります。雨が降っても葉に染みることなく水をためています。その効果を生かして昔から蓮の葉を皿としたり、餅米を包んだりと利用されてきました。雨が降ると不忍池の蓮は、大きな緑の葉の中に雨水をためている光景が池一面に広がります。
また蓮の花は花びらが散った後に、蓮の実として別の姿を現します。蓮台と呼ばれる蜂の巣のような姿です。オブジェのような姿は、蓮の花の美しさとは異なった魅力で、不忍池を訪れる人々の目を楽しませてくれます。
バードウオッチング
不忍池では、オナガガモ、カルガモ、ユリカモメ、カワセミ、ヒヨドリ、カワウなどのさまざまな野鳥を見ることができます。
普段から人が多い公園なので野鳥も人に慣れており、間近から観察できるのもポイントです。初心者や小さな子どもでも、気軽にバードウォッチングを楽しめます。
ボート
ボート池では、ボートをレンタルできます。乗り場は不忍池の中央にあり、そのすぐ横は弁財天を祀る上野弁天堂です。
ボートにはローボート、サイクルボート、スワンボートの3種類があり、可愛らしい白鳥型のスワンボートは見ている人の頬も緩みます。ボートのレンタルは種類によって異なりますが、30分¥500(税込)からとリーズナブルなので、ぜひ楽しんでみてください。
池にはカミツキガメやワニガメなどもいるそうなので、手を池に入れないように気をつけて。
上野骨董市
不忍池エリアでは、年に数回骨董市が開催されます。桜まつり、夏祭りなど季節のイベントに合わせて不定期で開催されているので、スケジュールをチェックしてみましょう。
珍しいものや掘り出し物を見つけられるかもしれませんよ。
上野骨董市こちらからご覧下さい
不忍池 ボート池でお気に入りのボートに乗ろう
不忍池は弁天堂を中心に遊歩道で3つに分かれており、弁天堂の本堂の裏手側のボート池でレンタルボートを楽しむことができます。ボート乗り場は1ヶ所で、ボートにはローボート、サイクルボート、スワンボートの3種類があり、値段と搭乗人数制限が異なります。お気に入りの乗りたいボートを決めて、チケットを購入しましょう。
手こぎ ローボート:大人3人まで / 500円(30分毎)
大人3人までなら、30分ごとに500円と料金的には一番お得なボートです。オールを漕いで進むので、コツをつかむまでは行きたい方向に進ませることは難しいですが、池に浮かんでゆっくりとした時間を過ごすことができます。遮るものがないので開放感は抜群で、写真を撮るにも最適です。
ローボートの乗り方
①オールを漕ぐ人は、進行方向に背を向けて座ります。ボートへ乗る際には低い姿勢で乗り込みましょう。
②オールを手に取り、着水位置を確かめ、腕を大きく前に伸ばし上体を前のめりにし、上体をのけ反らせながら腕を曲げオールを自分の方に引きます。この動作を繰り返すことでボートは前に進みます。腕だけでオールを引くのではなく、体全体で引くことがコツです。
足こぎ サイクルボート : 大人2人 小人1人まで / 700円(30分毎)
屋根付きの足こぎボートです。足元のペダルは自転車と同じように漕ぐことで前に進み、操縦はハンドルがあるので行きたい方向にも自由自在です。屋根があるおかげで日差しを遮ることができ、ボートの前後左右にも開口部が大きく開放感があります。
足こぎ スワンボート : 大人2人 小人1人まで / 800円(30分毎)
スワンボートは白鳥の姿をした可愛らしいボートで、乗らなくても見ているだけでも楽しい気分にしてくれます。子供たちの人気は間違いなしです。もちろん大人だけでもOKなので、優雅な白鳥の気分で不忍池を楽しみましょう。サイクルボートと同じ操作方法なので安心です。ボートの前に白鳥の首があり、後ろの開口も少ない造りなので開放感は他のボートに比べると少ないですが安心感はあります。
不忍池 の営業時間
4月・5月・6月・7月 午前10時~午後6時
7月・8月 午前10時~午後6時30分
9月 午前10時~午後6時
10月 午前9時30分~午後5時30分
11月 午前9時~午後5時
12月 午前9時~午後4時30分
1月 午前9時~午後5時
2月・3月 午前9時30分~午後5時30分
発券終了時間は営業終了時間より1時間10分ほど早いのでご注意ください。