『 圓教寺 (えんぎょうじ、円教寺)』は兵庫県姫路市の書寫山(書写山)に位置する天台宗の別格本山寺院です。
四国三十三所の中で最大規模の寺院で「西の比叡山」とも呼ばれています。
圓教寺 とは
天皇からも崇敬された「西の比叡山」
「圓教寺」は平安中期966年に性空(しょうくう、天台宗の僧)により創建されたと伝えられており、創建当時の寺名は「書写寺」と言われています。また、性空は花山天皇(第65代天皇)から尊崇の念を受けていたこともあり、986年には天皇自ら来山し「圓教寺」の勅号を与えられます。
花山天皇以外にも後白河天皇(第77代天皇)や後醍醐天皇(第96代天皇)なども崇敬し、建物の改築や改修さらには建立が行われたといわれています。比叡山(滋賀県)、大山(鳥取県)とともに天台宗の三大道場に数えられました。
圓教寺がある書写山は仏説によると、インドにある霊鷲山(りょうじゅせん、釈迦如来が『法華経』などを説いたとされる山)を書き写したように似ていることから書写山と呼ばれたといわれています。
標高371mの書写山山頂に建てられている圓教寺は、今は山の木々の中に建物が溶け込んでおり、畏怖堂々とした姿に息をのむ美しい空間が広がっています。境内はとても広く、1000年超えの時を刻む建物と自然の中に身をゆっくりと預けることができます。
圓教寺 の見どころ
圓教寺の境内には、車で行くことはできません。山の麓の無料駐車場を利用し、ロープウェイか徒歩で向かいます。圓教寺の広大な境内は、境界線はありませんが大きく分けて3つに分けられています。
書写山ロープウェイ
標高371mの山頂の「山上駅」まで約4分で移動できます。姫路の街並みが徐々に小さくなり、瀬戸内海を望むことができます。上りの車内では圓教寺の境内説明、下りの車内では姫路の町案内のテープが流れます。「山上駅」を降りてからも境内までは山道が続きます。有料で境内・摩尼殿の下まで送迎バスもあります。
東谷
まずは東谷です。
東谷は参拝客が最初にくぐる仁王門が中心となっています。
この「仁王門」は境内への入り口となっていて左右には木造の金剛力士像(室町時代の作)が立っています。
門自体は1617年に再建されたもので県の指定文化財に指定されています。
中谷
次は中谷です。中谷は摩尼殿を中心とした地域です。「摩尼殿」の寺院構造は、京都の清水寺と同じ舞台造りとい様式です。
1933年に再建されたものですが、伝統の建築様式を引き継いでおり国の登録有形文化財に登録されています。内部には本尊の如意輪観音座像が安置されています。
西谷
最後は西谷です。西谷は三之堂や奥之院を中心とした地域です。
「三之堂」は、向かって左側(南側)には「常行堂」、正面(西側)には「食堂」、右側(北側)には「大講堂」という3つの建造物がコの字で並んでいます。
この3つの建造物は重要文化財に指定されていて、当寺院の本堂でもある「大講堂」には釈迦如来像が安置されています。
これら以外にも多くの建造物があるので、参拝に来た際にはぜひ全部の建造物を見てください。
ドラマ・映画のロケ地にもなった「 圓教寺 」
『圓教寺』は皆さんがよく知っているドラマや映画のロケ地にもなりました。
中でも有名なのが、トム・クルーズと渡辺謙が共演したハリウッド映画『ラストサムライ』です(監督のエドワード・ズウィッグが当寺院を見て一目惚れしたといわれている)。
作中でオールグレイ(トム・クルーズ)と勝元(渡辺謙)が桜の木のもとで語るシーンは、境内にある本多家廟所(大講堂の東南にある)前で撮影されたといわれています。
食堂では勝元(渡辺謙)と氏尾(真田広之)の会話シーン、常行堂では勝元が阿弥陀如来の前で経を唱えるシーンとして使われています。
ほかの作品では大河ドラマ『武蔵』(2003年)、『軍師官兵衛』(2014年)がロケ地となりました。
ちなみに、史実として豊臣秀吉による毛利攻めの際には、豊臣秀吉が黒田官兵衛の進言で『圓教寺』に本陣を移したとも言われています。
Access
所在地:兵庫県姫路市書写2968
冬季:8時30分~17時
春季~秋季:8時30分~18時
最寄駅:JR山陽電鉄「姫路駅」から神姫バスで終点「書写ロープウェイ」で下車。
※2月はロープウェイ運休があります
公式サイト:http://www.shosha.or.jp/